2026年版EDCI報告の変更点とは?ESG指標・KPIの最新動向を解説

RIMM Japan
2025年10月28日
EDCIが2026年に向けてESG指標を改訂。サイバーセキュリティ指標の新設やScope 3排出量の重要性判断など、実務者必見の内容を解説。
2026年のEDCI(ESGデータ・コンバージェンス・イニシアチブ)の報告テンプレートにおいて、プライベートマーケット向けのESG測定指標がアップデートされました。本記事では、新たに導入された指標や既存指標への変更点、企業価値創出との関連など、実務に直結するポイントをわかりやすく整理します。
なぜ今回の変更が重要なのか?
EDCIは、プライベートエクイティ市場におけるESGデータの標準化を目指す国際的な枠組みです。2026年に向けて行われた今回の「Metrics Sprint」では、153社のアンケートやフォーカスグループの意見をもとに、以下の重要な改訂が実施されました。
変更点のハイライト
1. 新指標の追加:サイバーセキュリティ
新たなKPIとして「サイバー脆弱性テスト」が導入
NIST(米国国立標準技術研究所)ガイドラインに準拠
オプション扱いながら、GP・LP双方で高い優先順位を持つテーマ
2. 既存指標の改訂
Scope 3排出量の重要性確認(Y/N):全体排出量の40%以上かどうかを問う欄を追加
短期目標のSBTi認証有無の明示:気候目標の信頼性向上
ファイナンスド・エミッションの精度向上:「アトリビューション・ファクター」の項目を新設(任意)
3. 価値創出との連動:商業成果タブの試験導入
ESG改善と企業価値向上の相関を測るため、「Commercial Outcomes」タブをパイロット導入
今後の重要テーマとして注目される分野
今後のポイント
提出率は全体で向上傾向(例:Scope 3排出量 42%→49%、従業員満足度スコアは初の30%提出)ですが、一部指標では引き続き提出率が低く、開示の拡充が求められる状況です(特に再エネ活用や従業員エンゲージメント)。
今後は、サイバーセキュリティやScope 3などの「ESGリスク」への先行対応が企業価値の差別化要因になります。また、SBTiなど外部認証の有無が信頼性のカギになるため、明示的な開示を意識すべきでしょう。さらに、ESG改善が企業価値につながるロジック構築(KPI→商業成果)に向けた準備も進めることが大切です。
まとめ
2026年のEDCI改訂は、単なる報告義務の強化にとどまらず、ESGと事業戦略の接続を促す大きな一歩です。各社のサステナ推進担当者は、今回の変更を踏まえた社内体制の見直しやデータ整備を早急に進める必要があります。
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