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EDCI2027年版の変更点まとめ|PE・投資先企業が確認すべきESGデータ提出対応ガイド

RIMM Japan

2026年10月28日

プライベートエクイティ(PE)業界向けESGデータ標準化イニシアチブ「EDCI」の2027年報告年度向け指標改定を解説。新指標のAIポリシー、脱炭素・離職等の設問変更、提出期限や投資先企業からのデータ収集時の確認ポイントをわかりやすく整理します。

EDCI(ESG Data Convergence Initiative)の2027年報告年度版が公表され、指標の一部が改定されました。プライベートエクイティ(PE)ファンドや投資先企業にとって、どこが変わったのか、何を準備すればよいのかを、初めての方にもわかりやすく整理します。記事の最後では、詳しく解説するウェビナーのお申し込みもご案内します。


この記事でわかること

  • EDCIとはそもそも何か、なぜPEファンドが関わるのか

  • 2027年報告年度で変わった3つのポイント(新指標・既存設問の調整・提出テンプレート)

  • 2026年データの提出に向けて、今から準備しておきたいこと



EDCIとは

EDCI(ESG Data Convergence Initiative)は、PEファンド(投資会社)が、自社が投資している企業(投資先企業)のESG(環境・社会・ガバナンス)に関する情報を、統一されたフォーマットで集めるための業界の取り組みです。 https://www.esgdc.org/


PEファンドは、自分たちにお金を預けている出資者(LP:Limited Partner)に対して、投資の状況を定期的に報告する必要があります。これまでは各ファンドがバラバラの形式でESG情報をまとめていたため、出資者側で比較がしづらいという課題がありました。EDCIは、このESGデータの集め方・まとめ方を業界全体でそろえることで、報告の手間を減らし、比較もしやすくすることを目指しています。


EDCIでは毎年、集める指標や提出用のひな形(テンプレート)を見直しています。今回は2027年報告年度(2026年のデータが対象)に向けた見直しです。



2027年報告年度の変更:全体像

今回の見直しは、EDCIに参加する220社へのアンケートや、専門家による議論をもとにしたものです。全面的な作り直しではなく、次の3つのポイントに絞った調整になっています。

  1. 新しい項目が1つ増えた:AI(人工知能)の利用ルールがあるかどうかを尋ねる項目(任意回答)

  2. 既存の項目が一部変わった:脱炭素、サイバーセキュリティ、離職、労働災害に関する質問内容

  3. 提出用のテンプレートが整理された:入力項目の移動や、自動計算タブの追加など


2026年のデータを提出する期限は2027年4月30日です。もし期限までにすべてのデータが揃わなくても、後から追加で提出することが認められています。PEファンドの担当者としては、変更内容を早めに把握し、投資先企業に依頼する項目をアップデートしておくと、後の手戻りを防げます。


① 新しい項目:AI利用に関するルールの有無

2027年報告年度から、「投資先企業の中で、AIの使い方についてルール(ポリシー)が文書として定められているか」を尋ねる項目が、任意回答の形で新しく追加されます。

回答は「はい/いいえ/該当なし」の3択です。「該当なし」は、外部のAIツールも含めて一切AIを使っていない場合に限られます。必ずしも「AI利用ポリシー」という単独の文書である必要はなく、社内の複数の規程やガイドラインの中でAIの使い方が定められていれば条件を満たします。ただし、文書になっていること、従業員に周知されていること、きちんと管理する体制があることが求められます。

内容として盛り込むとよいとされている例には、どんな用途でAIを使ってよいか(悪いか)、入力してよい情報の範囲、人によるチェックの仕組み、担当者や責任の所在、社内研修などがあります。特定の国際基準に厳密に従う必要はありませんが、参考となる枠組みとしてISO/IEC 42001、NIST AI RMF、EU AI Actなどが挙げられています。


② 既存の項目が変わったところ

脱炭素(CO2などの排出削減)に関する項目

脱炭素に関しては、2つの質問が変更されました。

一つ目は、「削減目標に対して、ちゃんと進んでいるか」を尋ねる新しい質問です。短期の削減目標を持っている企業が対象で、これまでの排出削減量が目標どおりのペースに達しているかどうかを「はい/いいえ/該当なし」で答えます。

二つ目は、長期的な「ネットゼロ目標(将来的に排出を実質ゼロにする目標)」についての質問です。質問の聞き方が整理され、回答の選択肢の並び順も、達成度合いの低い順にきちんと並ぶよう入れ替えられました。前年に回答した内容をそのまま使い回すと、選択肢の意味が変わっている可能性があるため、改めて確認することが推奨されています。

補足(詳しい方向け):ネットゼロ目標の判定にサプライチェーン排出(Scope 3)を含めるかどうかは、Scope 3の排出量が全体の40%以上を占める場合に限られます。2028年からは、この基準がより細かい基準に変わる予定です。


サイバーセキュリティに関する項目

これまで任意だった「サイバーセキュリティテストを実施しているか」という項目が、必須に近い「コア指標」に格上げされました。自社でソフトウェアを開発していない企業向けに、「該当なし」という回答も選べるようになっています。社内で実施していなくても、外部の専門会社に委託しているテストでも回答に含めることができます。


離職に関する項目

退職者数について、「自分から辞めた人(自己都合退職・定年退職など)」と「会社の都合で辞めてもらった人(解雇・人員整理など)」を分けて報告できるようになりました。あくまで任意の項目です。


労働災害に関する項目

集計の対象に、正社員だけでなく、長期間・常勤で働いている契約社員も含めることが明確になりました。



③ 提出用テンプレートの整理

細かい項目の並びが整理されたほか、売上や従業員数あたりの排出量・労災件数などを自動で計算してくれる新しいタブが追加され、入力の手間が減るようになりました。また、これまで「calendar year(暦年)」という表現だった部分が「reporting year(報告年度)」に統一されるなど、言葉づかいの整理も行われています。



2026年データの準備チェックリスト

投資先企業からデータを集める前に、次の点を確認しておくと安心です。

  • AIの利用ルールが文書になっているか、社内に周知されているか

  • 短期の削減目標がある企業は、目標に対する進み具合のデータがあるか

  • ネットゼロ目標の回答は、選択肢の並びが変わったことを踏まえて見直したか

  • サイバーセキュリティテストの実施状況を、全社分確認したか

  • 離職者数を自発的/非自発的に分けて記録できているか

  • 労働災害・従業員数の集計に、長期の契約社員も含められているか



まとめ

2027年報告年度のEDCI改定は、全面的な作り直しではなく、AIという新しいテーマの追加と、いくつかの既存項目の見直しが中心です。とはいえ、ネットゼロ目標の選択肢の並び替えのように、「前と同じつもりで回答すると、実は意味が変わっている」部分もあるため、注意が必要です。2027年4月30日の提出期限に向けて、早めに投資先企業とすり合わせておくことをおすすめします。




EDCI解説セミナーのご案内

今回ご紹介した変更点や、提出に向けた準備の進め方は、ウェビナー「EDCI解説セミナー」でもより詳しくお話しします。実際にどう投資先企業にデータを依頼していくかといった実務面もあわせて取り上げますので、ぜひご参加ください。


▶ お申し込みはこちら

 https://forms.gle/MKdPjf1gqA4HG9Fz9


※ 本記事はEDCI公式情報をもとに株式会社RIMM Japanが要約したものです。各指標の正確な定義・要件は、EDCIが公表する最新のMetrics Guidanceおよびデータ提出テンプレートをご確認ください。



お問い合わせ 

株式会社RIMM Japan

https://www.rimm-japan.com/contact


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