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【シリーズ】サステナビリティ開示基準が示す新時代③|「まだ先」のESGが、急に現実になる瞬間

RIMM Japan

2026年4月9日

IFRS S1・S2やSSBJ基準の流れを踏まえると、ESG開示は決して一部の大企業だけのテーマではなくなりつつあります。本記事では、中堅・スタンダード企業の現実を踏まえながら、これから求められるESG対応の考え方を整理します。

前回の記事では、プライム市場企業が直面しているESG開示の実務課題について解説しました。 一方で、スタンダード市場や中堅企業においては、状況はやや異なります。 「まだそこまで対応していない」 「重要だとは思うが優先順位が上がらない」 こうした声も少なくありません。 しかし、IFRS S1・S2やSSBJ基準の流れを踏まえると、ESG開示は決して一部の大企業だけのテーマではなくなりつつあります。 本記事では、中堅・スタンダード企業の現実を踏まえながら、これから求められるESG対応の考え方を整理します。

なぜ今、中堅企業にもESGが求められるのか

ESG開示というと、多くの企業が「大企業の話」「まだ先の話」と捉えがちです。

しかし実際には、ESGの影響はすでに中堅企業にも広がっています。

その理由は大きく3つあります。



① サプライチェーン要請の拡大

最も大きな変化が、サプライチェーンからの要請です。

プライム企業がISSB・SSBJ対応を進める中で、取引先の環境情報、人権対応状況、ガバナンス体制

などの情報提供を求めるケースが増えています。

ここで重要なのは、これは「将来の話」ではなく、すでに始まっている動きであることです。


特に製造業や商社などでは、

・取引先アンケート ・サプライヤー評価 ・ESGチェックシート

といった形で、すでに情報提供が求められている企業も増えています。


つまり、中堅企業であっても「開示する側」ではなく「開示を求められる側」としてESG対応が必要になる場面が増えているのです。



② 金融機関・投資家の評価軸の変化

金融機関においても、ESGの観点が評価に組み込まれ始めています。

・サステナビリティ評価融資 ・ESGスコアリング ・非財務情報のヒアリング

など、企業の取り組みを評価する動きが広がっています。


従来は、売上や利益など財務指標が中心だった評価軸に、非財務情報が組み込まれ始めているのです。中堅企業にとってこれは、「融資条件」「資金調達のしやすさ」「金融機関との関係性」に影響する可能性があります。


つまりESGは対応すべきテーマから、経営に影響する要素へと変わりつつあると言えます。

特に中堅企業にとっては、資金調達に影響する要素としてESGが関係してくる可能性があります。



③ 規制は「段階的に広がる」

SSBJ基準は、現時点では大企業から段階的に適用される予定です。

しかし制度は通常、「大企業→ 中堅企業→ サプライチェーン」という形で広がっていきます。

つまり、「今すぐ義務ではない」=「関係ない」ではないという点が重要です。



中堅企業にとってのESGの難しさ

一方で、中堅企業がESG対応を進める際には、特有の難しさがあります。



① リソース不足

専任のESG担当がいないケースも多く、経営企画、総務、人事などが兼任で対応していることが一般的です。

そのため、「重要だが手が回らない」という状態になりやすいのが実情です。



② 何から始めればよいか分からない

ESGは範囲が広いため、どこから手をつけるべきか、どこまで対応すべきかが分かりにくいという課題があります。特にISSBやSSBJのような基準を見ると、「難しそう」「自社にはまだ早い」と感じてしまうケースも少なくありません。



③「やらされ対応」に陥るリスク

サプライチェーンや評価対応からESGに関わる場合、企業は受け身から動き始めます。

その結果、チェックリスト対応やアンケート回答、あるいは形式的な整備に偏りやすくなります。 しかしこの状態では、売上やコスト削減に結びつかない、会社の評価アップにつながらないといった、業価値との接続が弱いESGになってしまいます。 これは長期的には意味を持ちません。




中堅企業が取るべきアプローチ

では、中堅企業はどのようにESGに向き合うべきでしょうか。

重要なのは、「完璧にやる」ではなく「意味のあるところから始める」ことです。



① 自社に関係するテーマを絞る

ESGは広いテーマですが、エネルギー、人材、サプライチェーンなど、自社の事業に関係の深い領域から着手することが現実的です。



② 既存データを“経営データとして再整理する”

多くの企業ではすでに、電気使用量、人事データ、購買情報などを保有しています。重要なのは、それをESGデータとしてではなく経営データとして再定義することです。



③ 将来を見据えた「型」を作る

重要なのは、将来のSSBJ対応につながる形で整備することです。

場当たり的な対応ではなく、データの整理方法・管理の仕組み・更新プロセスを意識することが重要です。将来の対応コストを大きく下げることにつながります。



ESGは「早く始めた企業が有利」

ESGは後から一気に対応するのが難しい領域です。 データの蓄積、社内体制整備や理解浸透には時間がかかるためです。

そのため、小さくでも早く始めた企業の方が有利になります。



RIMMが支援できること

中堅企業にとって重要なのは、「無理なく、しかし将来につながる形で始めること」です。

RIMMでは、

・ESGデータの整理 ・開示基準に基づく構造化 ・将来のSSBJ対応を見据えた管理

を支援しています。

ESGを「負担」ではなく、企業価値を高めるための経営基盤として活用できるようサポートします。



おわりに

ESG開示は、すでに一部の企業だけのテーマではなくなっています。

中堅企業にとって重要なのは、「義務化されてから対応する」ことではなく、その前に準備を始めることです。


次回は、「ESGデータ収集の課題と自動化」というテーマで、実務に踏み込んだ解説を行います。




お問い合わせ

株式会社RIMM Japan

https://www.rimm-japan.com/contact


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